皆様、こんにちは。中村恵美司法書士行政書士事務所の中村恵美です。
離婚のご相談で、大きな問題になりやすいのが持ち家です。とくに住宅ローンが残っていると、どちらが自宅を取得し、どちらがローンを払っていくのかを決めなければなりません。
今回は、私が実際に経験したご依頼をもとに、離婚のときに持ち家の名義について済ませておきたいことを、お話しさせていただきますね。
■ 住宅ローンが残っている持ち家は、扱いが難しい
どちらも自宅の取得を希望せず、売却すればローンを完済できる場合には、売却して残ったお金を分けるという方法があります。けれども、実際にそうできるケースは多くないように感じます。
売却してもローンが残ってしまう、いわゆるオーバーローンのご自宅も少なくありません。
また、ご相談を受けるなかで、自宅を取得したいとおっしゃる妻側の方は多いのですが、離婚後にご自身で住宅ローンを払い続けていける方は、多くないのが実情です。
■ ローンが残っている間は、名義を変えにくい
夫名義の住宅ローンで購入し、抵当権が設定されている自宅を妻名義に変えようとすると、ローンを借りている金融機関との関係が問題になります。一般的な住宅ローンの契約では、完済前に金融機関の承諾なく所有者を変えることは認められていません。
そのため、「ローンを払い終わったら妻名義にする」と約束して離婚される方もいらっしゃいます。
■ 「完済したら名義を変える」口約束が守られなかった例
先日、まさにそうした口約束をされていた方から、名義変更のご依頼をいただきました。元夫とは連絡がつき、協力すると言ってくれている、とのことでした。
受任後、元夫にお電話すると「協力します」とのお返事。ひと安心して書類をお送りしたのですが、返送がありません。お電話すると「忙しくて遅くなったけれど、○日までに送ります」とおっしゃるものの、やはり届かない。そんなやり取りを何か月も繰り返しました。
結局、協力するおつもりはなかったのだと思います。きりがないため、6か月が経ったところで、私は辞任させていただきました。
■ 財産分与には、請求できる期間の制限があります
離婚後、財産分与の話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることができます。ただし、申し立てられる期間には制限があります。
この期間は、民法の改正により、令和8年(2026年)4月1日以降に離婚した場合は離婚から5年となりました。それより前に離婚された場合は、これまでどおり2年です。
今回のご依頼者は、離婚から10年以上が経っていたため、調停を利用することはできませんでした。
法的に請求するとすれば、当時、財産分与について合意していたことを示す証拠が必要になります。けれども口約束だったため、それを示すものはありませんでした。ご依頼者は裁判手続までは考えていないとのことで、最終的に名義変更をあきらめられました。
■ 将来、相続のときに問題になるおそれも
ご依頼者は現在もその家に住んでいらっしゃるので、当面すぐに困ることはないかもしれません。ただ、元夫は再婚され、お子さんも生まれています。
名義が元夫のままだと、将来元夫が亡くなったとき、その家は元夫の相続財産として扱われます。再婚相手やお子さんが相続人となるため、住み続けているご依頼者との間で問題になるおそれがあります。
■ 離婚のときにしておきたいこと
- 財産分与による名義変更の登記は、できる限り離婚と同時に済ませる
- すぐに名義を変えられないときは、取り決めを離婚協議書や公正証書などの書面に残す
- 必要に応じて、将来の名義変更に備えて仮登記を入れておく
仮登記ができるかどうかや、どのような形にするかは、ローンの契約内容やご事情によって変わります。
■ まとめ
今回は、離婚のときの持ち家の名義について、実際のご依頼をもとにお話しさせていただきました。
- 住宅ローンが残っている自宅は、すぐに名義を変えられないことが多くあります
- 「完済したら名義を変える」という口約束は、守られないこともあります
- 財産分与を家庭裁判所に申し立てられる期間には、制限があります
- 名義変更の登記は離婚と同時に。できないときは書面や仮登記で備えておきましょう
離婚に伴う不動産の名義変更や仮登記の手続きを、ご自身で進めるのが難しい場合は、どうぞご相談ください。
当事務所は、ご来所のほか、WEBでもご相談いただけます。岡山で離婚に伴う不動産の手続きをお考えの方は、どうぞお気軽にお声かけくださいね。
中村恵美司法書士行政書士事務所
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