皆様、こんにちは。中村恵美司法書士行政書士事務所の中村恵美です。
「元気なうちに遺言書を書いておけば、ひとまず安心」。そんなふうに考えていらっしゃる方は、案外多いのではないでしょうか。私自身も遺言書を作っていて、年に1回、内容を見直すようにしています。
ただ、お仕事をお受けするなかで、遺言書だけでは備えきれないこともあるのだなと感じています。たとえば、病気や事故で自分の気持ちを伝えられなくなったとき、どんな医療を望むのか。これは、遺言書では扱いきれない部分なのです。
今回は、私が年に一度、遺言を見直している理由と、今年新しく作成した「尊厳死宣言公正証書」について、書類の位置づけや気をつけておきたい点も交えながら、お話しさせていただきますね。
■ 年に1回、自筆証書遺言を見直しています
私は自筆証書遺言を作っていて、年に1回、内容をあらためて読み返すことにしています。(ある程度の年齢になったら、公正証書にすることも検討します。)
遺言書は、一度書いたら終わり、というものではありません。財産の内容が変わったり、ご家族の状況が変わったりすると、書いた当時の内容が今の暮らしに合わなくなってくることもあります。
見直しといっても、そんなに大がかりなことをしているわけではありません。一年に一度、「今の自分の気持ちと合っているかな」と確かめる時間を持つ。その程度のものです。
■ 遺言では備えられない「生きている間」のこと
遺言書は、原則として亡くなった後の財産の承継などについて効力が生じる書類です。
ですので、生きている間の医療や介護についての希望は、遺言書に書いたとしても、そのとおりに実現される仕組みにはなっていません。
生前の備えは、遺言書だけでは完結しない。日々のお仕事のなかで、そんなふうに感じています。
■ 後見業務を通じて感じてきたこと
私は成年後見のお仕事を通じて、身寄りのない方の最期に立ち会わせていただくことが少なくありません。
そうした場面でいつも難しいと感じるのは、ご本人のお気持ちが分からないまま、医療についての判断が求められることです。何を望んでいらっしゃったのかを示すものが残されていないと、周りの者は普段のご本人の様子から、ご本人の要望を推測しなければなりません。
延命治療をどうするか。どんな最期を迎えたいか。改まってお話しする機会は、なかなかないかもしれません。それでも、自分の考えを周りに伝えておくことには意味があるのだなと、何度も感じてきました。
■ 尊厳死宣言公正証書とは、どのような書類でしょうか
そうした思いもあって、私は今年、尊厳死宣言公正証書を作成しました。
これは、延命措置を差し控える、あるいは中止してほしいという本人の宣言を公証人が聴き取り、その内容を公正証書にするものです。(㊟この書類があれば必ず希望どおりの医療になる、というものではありません。)
■ 家族の心の負担を、少し軽くできたら
尊厳死宣言公正証書は、身寄りのない方が作成されることが多い現状ですが、私はご家族がいらっしゃる方も作成のメリットがあると思っています。
家族が延命治療を続けるかどうかの判断を求められることは、心にとても大きな負担がかかります。「あの判断でよかったのだろうか」という思いが、後々まで残ってしまうこともあります。
本人の気持ちが形として残されていれば、家族も「本人の希望に沿えた」と受け止めやすくなるのではないでしょうか。この書類は本人のためであると同時に、残される方のためでもある。それが、今の私の実感です。
もっとも、こうした準備が必要かどうか、どんな形が合っているかは、お一人おひとりの状況によって変わってきます。
■ まとめ
今回は、遺言書を定期的に見直すことと、遺言書だけでは備えられない生前の意思表示について、お話しさせていただきました。
- 遺言書は、状況の変化に合わせて見直すことができます
- 遺言書では、生きている間の医療についての希望までは扱えません
- 尊厳死宣言公正証書は、その気持ちを形に残す方法の一つです
- ご本人のためだけでなく、ご家族の負担をやわらげる意味もあります
「自分の場合は何から考えたらいいのか分からない」という段階でのご相談も歓迎しております。
必要な手続や準備すべき内容は、ご事情によって変わってきます。当事務所は、ご来所のほか、WEBでもご相談いただけます。まずは、お問い合わせフォーム、メール、公式LINEからお問い合わせください。岡山で相続や遺言、終活のことを考えていらっしゃる方は、どうぞお気軽にお声かけくださいね。
中村恵美司法書士行政書士事務所
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