中村恵美司法書士行政書士事務所

見知らぬ方の相続登記に協力を求められたら|確認方法と相続放棄の期限

皆様、こんにちは。中村恵美司法書士行政書士事務所の中村恵美です。

「あなたはAさんの相続人です。Aさん所有の不動産について相続登記が必要ですので、手続きにご協力ください」。ある日突然、こんなお手紙が司法書士から届くことがあります。Aさんのお名前にまったく心当たりがなければ、「なぜ自分に」「詐欺ではないか」と驚かれるのも無理はありません。

私は司法書士として、まさにこうしたお手紙をお送りする側の立場です。戸惑われる方が多いため、落ち着いてご判断いただく手がかりになればと思い、この記事を書いています。

今回は、なぜそうした連絡が届くのか、届いたときに何を確認すればよいのか、そして相続放棄という選択肢とその期限について、順を追ってお話しさせていただきますね。

■ なぜ、見ず知らずの方から相続登記の連絡が届くのでしょうか

背景にあるのが、令和6年(2024年)4月1日から始まった相続登記の申請義務化です。

法務省の案内によれば、相続によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請することとされています。正当な理由がないのにこれを怠った場合、10万円以下の過料の対象となることがあります。

この義務は、施行日より前に発生した相続にもさかのぼって適用されます。過去の相続については、原則として令和9年(2027年)3月31日までが期限とされているため、長く放置されてきた相続登記を今のうちに進めようとされる方が増えています。

その結果として、「名前も知らない方の相続登記に協力を求められる」という場面が、各地で起きているのです。

■ 相続登記を長く放置すると、相続人は増えていきます

たとえば、土地の名義がAさんのままだったとします。

本来はお子さんであるB・C・Dさんが相続するところ、登記をしないまま時間が経ち、その間にB・C・Dさんも亡くなられたとします。Bさんの相続人がE・Fさん、Cさんの相続人がG・Hさん、Dさんの相続人がI・Jさん、という具合です。

この段階でA名義の不動産について遺産分割協議を行うには、E・F・G・H・I・Jさんの全員が関わることになります。放置される期間が長いほど相続人は増え、お互いに顔も名前も知らないという状態になっていきます。

■ まずは、差出人が実在する司法書士かを確認しましょう

心当たりのないお手紙を受け取ったとき、最初に浮かぶのは「詐欺ではないか」という不安だと思います。

司法書士は、必ず各都道府県の司法書士会に登録しています。ですので、差出人の氏名や事務所名を、その都道府県の司法書士会のホームページに掲載されている会員検索で確認していただくのが確実です。当事務所は岡山県にありますので、岡山県司法書士会のホームページから確認していただけます。

多くの場合、相続関係説明図などの資料がお手紙に同封されているはずです。ご自身がどのつながりで相続人にあたるのかを、あわせてご確認ください。不審な点があれば、記載された連絡先ではなく、司法書士会で確認した情報をもとにお問い合わせいただくと安心です。

■ 協力するか、相続放棄をするかを考える

A名義の不動産の相続登記を進める方法としては、相続人全員で遺産分割協議をして特定の方の名義にする方法と、相続人の共有名義にする方法が考えられます。

もっとも、共有名義にすると固定資産税の負担が生じたり、その後の売却や処分に相続人全員の関与が必要になったりします。長年放置されてきた不動産は資産価値が高くない場合も少なくないため、実務上は遺産分割協議によって一人の名義にまとめる方法が選ばれることが多いように感じています。

このとき、「借金がないと証明してくれるなら協力する」とおっしゃる方がいらっしゃいます。相続開始から長い年月が経っている場合、負債があっても時効によって消滅している可能性はありますが、「負債が存在しないこと」を証明することはできません。

負債の有無が気にかかる場合には、相続放棄という選択肢を検討されるのも一つの考え方です。相続放棄が認められると、初めから相続人ではなかったものとして扱われるため、遺産分割協議に加わる必要はなくなります。

■ 相続放棄には期限があります

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申述する必要があります。

お手紙で初めてご自身が相続人であると知った場合には、その時点が起算点になると考えられます。

3か月は、思いのほか短く感じられます。戸籍の収集など準備に時間がかかりますので、検討される場合は早めに動き始めていただくとよいと思います。どうしても間に合わないときは、3か月の期間内であれば、期間の伸長を申し立てることもできます。

■ まとめ

今回は、心当たりのない方の相続登記への協力を求めるお手紙が届いたときの考え方について、お話しさせていただきました。

  1. 相続登記の義務化を背景に、こうした連絡は今後も増えていくと考えられます
  2. まずは、差出人が実在する司法書士かを司法書士会で確認しましょう
  3. 遺産分割協議に協力する方法のほか、相続放棄という選択肢もあります
  4. 相続放棄には3か月という期限があります

必要な手続きや進め方は、お一人おひとりのご事情によって変わってきます。「自分の場合はどうすればよいのか分からない」「まずは届いた手紙を見てもらいたい」という段階でのご相談も歓迎しております。

当事務所は、ご来所のほか、WEBでもご相談いただけます。まずは、お問い合わせフォーム、メール、公式LINEからお問い合わせください。岡山で相続や遺言、終活のことを考えていらっしゃる方は、どうぞお気軽にお声かけくださいね。

中村恵美司法書士行政書士事務所
代表: 中村 恵美

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